大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和25年(あ)93号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人別城遺一の上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。

第一点について。

論旨は第一審判決挙示の証拠によっては判示事実を認定することを得ない旨を主張する控訴趣意に対する原判決の判断を非難すると共に本件賍物牙保罪に関する犯意について為した原判決の刑法上の解釈について非難することに帰しその実質は憲法違反を理由とするものと認められないから採用できない。

第二点について。

自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部にわたってもれなくこれを裏付けするものでなくても自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足りることは当裁判所が屡々判例とするところである。そして右判例の趣旨は新刑訴第三一九条第二項が設けられたからとてこれを変更する必要はない。従って原判決のこの点に関する判断は正当であって憲法第三八条第三項に反するところはないから論旨は採用できない。そして本件は刑訴第四一一条を適用しなければならないとは認められない。

よって刑訴第四〇八条により主文の通り判決する。

以上は裁判官全員一致の意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例